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2020年6月1日 更新
三栖右嗣リトグラフ展示室

<お知らせ>
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更に伴い、ときがわ町における「新型コロナウイルス感染症対策による生涯学習施設の利用制限」は、令和5年5月7日をもって全て廃止します。
今後の感染対策は、利用者個人の判断の元に自主的な取り組みをお願いします。


 洋画壇屈指の画家である三栖右嗣氏のリトグラフ(石版画)作品を、広く世界に誇りうる文化的財産として、
町民をはじめ多くの皆様に展観することを目的に平成5年より収蔵を始め、ここに「三栖右嗣リトグラフ展示室」としてこれらを一堂に、
また常時展観できる運びとなりました。
 画家渾身の作品群は、その制作技法から美術史的にも貴重なものであり、国内外から高い評価を得ています。
 三栖右嗣の世界をどうぞごゆっくりご鑑賞ください。

三栖右嗣

三栖右嗣・略歴


三栖右嗣[みすゆうじ] (1927-2010)

 
1927年 神奈川県に生まれる
1952年 東京芸術大学油絵科卒業
1975年 沖縄海洋博展大賞受賞
1976年 第19回安井賞受賞
1981年 石版画集「林檎のある風景」
を刊行
大版画「林檎のある風景」
を制作
1983年 毎日新聞社よりカラー・リトグラフ屏風「紅梅図」を刊行
2010年 4月 逝去 享年82歳

 
リトグラフ集「野の花」「潮騒」「フラメンコ」「ヴェニス」等を刊行
国立近代美術館・東宮御所・国立公園協会・愛知県美術館・沖縄県立博物館・福井県立美術館・長谷川町子美術館等に作品収蔵

三栖右嗣リトグラフ展示室周辺マップ

 
休館日 月曜日、国民の祝日及び12月28日から翌年1月4日までと臨時休館日 
開館時間  午前9時から午後5時まで 
入館料 無料 
所在地
〒355-0395
埼玉県比企郡ときがわ町
大字玉川2510
ときがわ町文化センター
(アスピアたまがわ)事務室
☎0493-65-4858(直通)

石版画集「林檎のある風景」20葉集より1981 リトグラフ

石版画集「林檎のある風景」20葉集より 1981 リトグラフ

 

林檎と私
三栖右嗣

 野の花を求めて信州を訪ねた折に、偶然林檎畑へ迷い込み土の上に落ちた真紅な林檎に生命[いのち]を感じたのが出逢いでした。
 毎年林檎の収穫が終わった初冬から春にかけて林檎畑を訪ね、落ち林檎たちと逢うのが楽しみで早や二十数年が過ぎました。

 

紅梅図の画像

紅梅図

石版画と三栖右嗣の画像

石版画と三栖右嗣
森工房 森 仁志

 水と油が反発する原理を用いた石版印刷は、1798年ドイツのセネフェルダーによって発見、実用化されました。今日のオフセット印刷の原型です。
 日本には幕末1860年(万延元年)プロシヤの使節団によって伝えられました。当初、この石版印刷は各種の商業印刷に、また複製画や額絵の制作に利用されました。日本では明治末年、自画時自刻自刷りの創作版画運動の中から自画石版すなわちオリジナルな版画制作活動の一手法として画家に利用されましたが、それはほんの一部の世界にすぎませんでした。一方ヨーロッパではドーミエやロートレック等の新聞・ポスター等と結びついた発展から、20世紀になると画家の手による石版画制作へと更に発展していきました。日本では1970年代になってようやく本格的な工房の出現を迎え、今日の隆盛に至っています。
 今日、日本の画家の多くのリトグラフはオリジナルリトグラフと称していますが、実際には画家が直接石版石に絵を描き刷ったものではなく、原画を基に工房が写真印刷の技法をはじめ、様々な石版印刷の技法を駆使して多くの版を使った原画の複製版画です。
 三栖右嗣の石版画は画家自ら工房に出向き、石版石上に直接絵を描き、刷りあげた完全なオリジナルリトグラフです。「林檎のある風景」20点セットは2年の歳月をかけ、長野の森工房に通って石版石に直接描き上げ完成したものです。ここではリトグラフの様々な技法が試みられており、使用した紙も一点ずつ異なる手すき和紙を用いた戦後日本版画史を飾る金字塔と言えるでしょう。

東西絵画の溶融
村瀬雅夫

 「林檎のある風景」など23点の石版画には様々な手法が使われています。
 油彩技法に至った西欧絵画の特質の一つは精緻な光、明暗陰影の表現方法です。一方東洋絵画の多様な表現を駆使して、まったく新しい白と黒の世界を作り出しています。
 石版画技法は、水と油の反発を利用して発明された西欧技法ですが、中国で発明された紙や絹の上と同様に、画家は石版上に「余韻」「余白」「墨に五彩あり」といった水墨の気韻生動の妙趣をよみがえらせ加えています。画家が実現させた東西絵画を溶融いた新しい石版画の世界は20世紀芸術の優れた成果です。
 1997年、石版画誕生200年を記念してフランスで開かれた記念展に、日本から唯一人画家の石版画が選ばれ展示されました。
美術評論家・福井県立美術館館長

絵画を描く三栖右嗣

三栖右嗣リトグラフ ときがわ町収蔵作品目録

潮騒3葉集 1978年 38.4×25.8cm
エゾの花 1978年 61×91.5cm
野の花 1982年 38×49cm
コスモス 1982年 20.3×46.7cm
アマポーラ 1982年 29.5×50cm
牡丹 1985年 56×41.7cm
残照 1985年 27.5×49cm

フラメンコ3葉集 1978年 38.5×28cm
林檎のある風景20葉集 1978年
~1981年
42.7×59cm
~45.5×60.5cm
11 紅梅図(屏風) 1983年 120×480cm
12 林檎のある風景 1990年 118×240cm
13 1981年 64.5×105cm
14 林檎の樹 1981年 85×60.5cm

本文終わり
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